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まんさくの花、刈穂、加賀鳶。

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まんさくとは元々は花の名前です。

満作科という一つの科があるくらいの。

開花時期は1月下旬から3月下旬くらいです。

春の花なんですね。

また、「万作」とも書きます。

どんな花なんだろう?と思い、検索してみました。

 

こんな花でした。

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薬用植物なんですね。

収斂、止血、止瀉薬として赤痢、内臓器官の出血、痔疾などに効き目があるという。

なるほど。

でも、お酒の方にはそんな効果はありませんのでご注意ください。

 

日の丸酒造で醸造されています。

元禄2年(1689年)創業。蔵は横手盆地の穀倉地帯にあります。仕込み水は奥羽山系の豊富な伏流井戸水を使用しています。

 

 

秋田といえば!そうです刈穂も秋田のおいしい日本酒です。

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刈穂の中でもこの「嘉永」、おいしいですよ!

刈穂は「刈穂酒造」ですね。

創業は1913年(大正2年)、出羽鶴酒造の兄弟蔵として秋田県神宮寺町(現・大仙市)にできました。

 

秋田の名水

秋田を代表する名水が湯沢市の「力水」でしょう。

その名の通り飲むと力が出ると評判のようです。

湯沢城址古館山の麓に湧いています。

もう一つは、「六郷湧水群」です。

 

秋田を代表する酵母

「きょうかい6号」と「秋田流花酵母(AK-1)」です。

「秋田流花酵母(AK-1)は後の「きょうかい1501号」です。

 

 

加賀鳶

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加賀鳶もおいしい日本酒です。

蔵は福光屋さんです。

創業は1625年(寛永2年)だそうです。

霊峰白山の「百年水」で仕込まれています。

なお、こちらは秋田ではなく、金沢の蔵です。

 

 

ちなみに、こちらは加賀さんです、こちらもおいしそうですね。

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加賀さんは正規空母です。

日本酒で例えるなら「純米大吟醸」といったところでしょうか?

結構このジト目キャラって好きかもしれない・・・ 続きを読む まんさくの花、刈穂、加賀鳶。

花酵母を使用したお酒。【天吹酒造】

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かつて、たくさんの日本酒と出会ってきたが、この蔵との出会いは衝撃的でした。

「天吹酒造」

たまたまネット上の知人がこの蔵の親せきで、送ってもらったのが最初の出会いでした。

それまでは西日本に多い「香り吟醸」系の日本酒が正直ニガテでした。

この蔵は佐賀の蔵なのですが、とてもおいしい日本酒を造られており、とても感動したことを覚えています。

 

当時、花酵母から造られたお酒というのもまだ物珍しく、北海道に住んでいた私はここのお酒を持って日本酒仲間のところへ走ったものです。

みなとても驚いて、それぞれの経営する店で置きたいと「蔵に直接お手紙を書く!」(なんせ年配の方でしたのでw)と盛り上がったものです。

岩見沢と北見の小料理屋に今でも置かれています。

私は旭川に住んでいましたので、旭川~岩見沢で102km、旭川~北見で179kmでしたが走りましたw

どちらの方もとても素晴らしい方で、いまでも心の師匠です。

 

この花酵母で造られたお酒は、ただおいしいだけではなくこのお酒と触れることのできた私たちを幸せにしてくれました。

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左から、「純米吟醸 美山錦 生」、真ん中が、「純米吟醸 雄町 生」、右が、「生もと純米大吟醸 雄町」です。

「純米吟醸 美山錦 生」なでしこの花酵母を使用しています。

この3本の中でも私の一番のお気に入りです。

「純米吟醸 雄町 生」もなでしこの花酵母です。

美山錦とはまた違った味わいで、とてもおいしいです。

「生もと純米大吟醸 雄町」はしゃくなげの花酵母を使用しています。

こちらもおいしいですよ。

おいしい意外に感想はないのか?って感じですが、これを書いている今でも味はしっかりと舌に残っています。

久しぶりにまたあの感動を思い出したくなってしまいました。

あとで注文するとしましょう。

もちろんこの他にも「月下美人」、「コスモス」、「アベリア」、「ベゴニア」などの花酵母を使用したお酒も味わっています。

 

今ではここの蔵以外にも花酵母を使用したお酒をだしている蔵がいくつもあります。

あなたも見かけたらぜひ試してみてください。

それまでの日本酒の概念なんて一発でふっとびます。 続きを読む 花酵母を使用したお酒。【天吹酒造】

実際に飲んできた日本酒たち。

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私は今までにたくさんの日本酒たちと出会ってきました。

日本酒は味わう人の好みで美味い不味いを決めていいと思っています。

ですから私の感想はあくまでも私の感想であり、それを参考になさって納得できた方は好みが似ている。

できなかった方は好みが違うのだという事になります。

こちらにおもしろいサイトを見つけました。

「日本酒物語」というサイトで、独自の計算式によりランキングされているようです。

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試しに獺祭のところをクリックしてみたのですが、蔵のHPに飛びました。

200位までが載っていますが、これがそのままおいしさの順位というわけでは当然ありません。

どちらかというと人気ランキングに近いと感じます。

(2015年5月12日現在)193位にランク付されている「一夜雫」ですが、このお酒はとてもおいしいお酒です。

3位にランク付されている「黒龍」と比べるならこちらの一夜雫の方が断然おいしいです。

ただし、黒龍にも当然おいしいお酒があります。

それは「黒龍 しずく」です。

 

一夜雫も黒龍しずくも、どちらも大吟醸酒です。

私はこの2つは甲乙つけがたいくらいに好きです。

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上の2本が同等であり、同じ大吟醸でも下は先の2つより劣るという位置づけです。(あくまでも私の好みです)

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ですからこのサイト以外でもランキングが表示されていたとして、そのランキングに惑わされてはいけません。

有名か無名かでも違いますし、結局のところは自分の舌で味わってみるまでわからないのです。

「そんなこと言っても不味い日本酒には手を出したくない」という方は、自分の好みと近い舌を持っているサイトを見つけるといいでしょう。

ここのサイトで1位に掲載されている「獺祭(だっさい)」にしても、純米大吟醸45と50では当然味も変わりますし、磨き三割九分と二割三分でもまったく違う味わいになります。

 

私はこのサイトに掲載されている200のうち、控えめに見てもたぶん半分は味わったことがあると思います。

ざっと流し見ただけで数えていませんので、だいたいのところですが。

 

この中で私が一番好きなお酒は「〆張鶴 純」です。

新潟で震災があるまでは毎年ケースで購入しておりました。

「久保田」はおりにつけては義理の弟がよく「翠寿」や「紅寿」、「碧寿」を送ってくれていましたのでやはり今でも好きです。

加賀鳶の「黒帯」もおいしいお酒ですよね。

他にもまだまだおいしいお酒がたくさんあります。

 

みなさんも自分だけの最高の一杯を探してあちこちから取り寄せてみてはいかがでしょうか?

まだ出会っていない数多くのお酒の中に、きっと満足できる一杯がありますよ。

続きを読む 実際に飲んできた日本酒たち。

貯蔵と熟成

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こちらは八海山の雪中貯蔵庫の写真をお借りしました。

八海山も私はとても好きなお酒です。

他にも〆張鶴とか雪中梅とか新潟にはおいしいお酒がたくさんありますね。

 

今回は貯蔵と熟成に関するお話

熟成(じゅくせい)とは、貯蔵されている間に進行する、酒質の成長や完成への過程をいう。上槽滓下げのあと、無濾過生酒として出荷するために、濾過火入れを経ないものもあるが、そうでない製成酒は通常それらの工程を経た後に、さらに酒の旨み、まろみ、味の深みなどを引き出すためにしばらく貯蔵(ちょぞう)される。(wikiより引用)

特に熟成古酒と呼ばれるものは3年以上寝かせたもののみに対して許される呼称です。

長期熟成酒研究会

こちらで詳しく解説されています。

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日本酒にも賞味期限はありますが、調熟作用(ちょうじゅくさよう)といってアミノ酸分解や糖化によって風味の自然調和がでます。

一般的に完全醗酵させた純米酒は熟成がゆっくり進みますので劣化がしにくいです。

この完全醗酵させたというところが大きなポイントで、これはそこらのアル添酒には真似のできないものです。

こうして長期熟成されたお酒はまた格別の味わいとなります。

お近くの酒屋さんやネットショップなどでぜひ一度探してみてください。

きっとファンになりますよ。

 

私は仕事で旭川に10年ほど住んでおりましたが、旭川には男山酒造がありました。

こちらで年に一回行われる酒蔵解放が毎年とても楽しみで、毎年足繁く通ったものです。

必ず購入していたのは祖母が大好きな酒粕と私が大好きな甕酒です。

特に吟醸粕はある年とない年がありましたし、ある年でもあっさり売り切れるほどの大人気商品でした。

甕酒の方は商品の性質上発送することができなかったのですが、それでも送っている方もたくさんいらっしゃいましたねw

地元の蔵は通う価値が大いにあると思いますので、まずはお近くに蔵がないかどうか調べてみるのも楽しいですよ。

お店では見かけない商品はもとより季節限定のものはやはりその季節でしか味わうことができませんので。

 

ウィスキーと同じで熟成させている過程でどうしても「かさ」が減ってしまうようですから、お値段的に張ってしまうのは致し方ないところですが味わってみれば納得できます。

こうしてみてみると日本酒も発酵食品の一種なんだなぁとつくづく感じられます。

飲み過ぎはもちろん体に毒ですが、容量と用法を守れば酒は百薬の長ですからね。

あなたもぜひご自身の舌に合うおいしい一滴を探してみませんか? 続きを読む 貯蔵と熟成

日本酒を仕込む

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日本酒の仕込み(製法)につきましては、各蔵のものですし基本となるところをかいつまんでお話する程度にします。

 

先日、このサイトを見た知人から「お前のサイトは難しすぎて読む気にならん。」というありがたいお言葉をいただいたので、事細かに解説するだけじゃダメなんだなぁと改めて感じているところです。

 

私自身が学んだのは2年半という短い期間でしたが、ここに上げさせていただいたことを始めとして、その当時の部長(杜氏さん)がお付き合いのある蔵からの試作品などを愉しんでおりました。

月一回の定例会合兼勉強会があったのですが、そこで毎月テーマを決めて勉強していたわけです。

ともあれ受講生はみな日本酒が大好きでしたので、「利き酒」と称して味わうものの、吐き捨てることなど当然できずに呑んだくれの集まりと化していたようなところでしたw

 

普通の学校とは違い、1年で全てを教えるようなところではなく時間や機会の続く限り学び続ける場でしたので、とても勉強になりますし楽しかった記憶があります。

私の仕事の都合でその街から転勤してしまい、参加することができなくなってしまったのですが当時でもお年を召されていた部長がお亡くなりになったと伺ったときにはとても寂しいものがありました。

 

結局私を始めとして、そこに集う多くの人は普段の仕事や家庭を持ち、その中でもとても日本酒が好きで愛してやまない者の集まりでしたので、蔵人やましてや杜氏という職には就いていませんでしたが(部長を除く)、とても幸せな時間を共有できました。

学校を出てからの勉強はやはりこうあるべきなんだなぁと今でも感じます。

 

前置きが長くなりました。

ここまで記して来ました内容から、米と水、そして菌とそれらをもとに造る人の汗と努力によっておいしい日本酒が仕込まれています。

これはどの蔵でも共通していることです。

学べば学ぶほどに、おいしくないわけがないというくらいの情熱に触れてきました。

ここのサイトを立ち上げるきっかけとなったのが、当時感じたその情熱をあなたとわかちあえればと思い立ったからなのですが、いかんせん文才がなくてすみません。

 

造る過程において、とる工程によって、日本酒の分類や名称が変わってくることを知るとお店で見かけたときにとても楽しくなりますよ。

 

仕込み

日本酒で仕込みとは「段仕込み」のことを言います。

段仕込みとは

もろみ造りにおいて、その前の工程で造られた酒母「酛(もと)」へこうじと蒸米を段階で分けて加えていくことをいいます。

基本的に三段階で仕込まれますので三段仕込みというんですね。

初添(はつぞえ)、仲添(なかぞえ)、留添(とめぞえ)と呼ばれています。

どうして三回にわけるのかといいますと、日本酒造りに使われる微生物が酸性を好むためなんですね。

それに菌はとても繊細ですから、急激な環境の変化を与えることをなるべく避けてやるんです。

そのために踊りと呼ばれる、何もしない工程を間に挟みます。

一度に全部入れてしまいますと菌がびっくりしてしまいますから、環境の変化にまずは菌を馴染ませるんです。

 

四段仕込み六段仕込みって?

これらは三段仕込が終わった後に、蒸米を足して造られています。

三段仕込+一回なら四段仕込み、三段仕込+三回の蒸米投入なら六段仕込ということです。

基本的に三段仕込が終わったところで、酵母(酒母)は自ら生み出したアルコールによって死滅してしまいますので、そこに糖分をいくら加えても分解されることはありません。

なので三段仕込が終わった後に糖分のもとである蒸米を投入してやるということは、そのまま糖分がお酒に残りますので甘いお酒に仕上がるのです。

 

甘酒四段とは?

昔、精米歩合を高めることができなかった時代に、醪末期(もろみの醗酵の最後の段階)で醗酵が急に進み、お酒が薄辛くなることがありました。

それを補うために甘酒などを四段目に仕込んでいたことから名づけられています。

 

なお、糖類などを加えた醸造アルコールを大量に添加する三倍醸造酒がすたれていくと、かわりの糖類として甘酒を四段として打つ酒造家が増えました。

アル添していますから、辛すぎる酒へでんぷん酵素剤などで米を溶かした工業生産的な甘酒を投入することで甘みを補ったのです。

このような仕込みは上記の甘酒四段とはまったく意味合いが違います。

未熟なもろみに未分化な成分を加えるために、製成酒は味のキレも悪く劣化しやすいものとなり、早くから老ね香(ひねか)を発しやすくなってしまいます。

 

ですからあまりの多段仕込には注意が必要ですね。

続きを読む 日本酒を仕込む

掛米、麹米とは?

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それでは今日は、掛米や麹米についてお話しましょう。

掛米(かけまい)とは、蒸した後に冷まされて、直接もろみに仕込まれるお米のことです。

掛米にはこうじを振りかけず、直接もろみの中に投入されます。

1度の仕込みで使われるお米の割合は、こうじ用に使われるお米が2~3割、酒母米(酒母用に使われるお米)が約1割なのに対して、約7割が掛米として使われます。

ラベルの原料米表記には50%以上を使っていれば表示できますので、例えば「山田錦使用」とだけ書いてあるラベルを見つけたとしますと、山田錦を50%以上使用しているという意味になります。

 

麹米(こうじまい)とは、こうじ造りに使用するお米のことです。

蒸米にしたものに、こうじ菌を繁殖させてでんぷんを糖化させることができます。

こうじ菌が分泌する酵素がでんぷんをブドウ糖などに分解し、ブドウ糖は酵母菌によってアルコールへと変わります。

 

なお、特定名称酒には酒米のみが使われることが多いのですが、普通酒には一般米(うるち米)で造られることがほとんどです。

こういうところでも風味が変わってきますので、特定名称酒が一段とおいしい理由がわかりますね。(一般米は食べるとおいしいのですが、お酒造りに使いますとえぐ味や雑味がでやすいのです)

余談ですが、掛米に一般米が使われる一番大きな要因は、原材料費を少しでも安くすませるためです。

また、掛米専用品種もごく少量ではありますが存在します。

興味のある方は「低グルテリン米」で調べてみてください。

 

酒母米(酛米)とは、酒母を造るために必要なお米で、こうじ造りの次に大事な工程となります。

蒸したお米、こうじ、水を用いて優良な酵母を培養したものです。

この酒母造りでうまく酵母を培養できるかどうかが腕の見せ所でもあります。

酒母には2つの種類があります。

生酛系酒母

生酛系の酒母造りは古くから続く製法で、蔵に自生している乳酸菌を空気中から取り込んで乳酸をつくらせます。(家つき酵母や蔵つき酵母とも呼ばれます)

酒母ができるまで一か月くらいかかり、運任せのところもあったのでなかなか品質は安定しませんでした。

それでも、生酛系独特のしっかりとした酒質のお酒ができるため、手作りにこだわっている蔵では今でも生酛造りをしているところもあります。

速醸系酒母

こちらは乳酸を人工的に加える製法です。

仕込み水にあらかじめ醸造用の乳酸を加え、混ぜ合わせたうえで掛米とこうじを投入して酵母の培養が行われます。

こちらの手法ではおよそ2週間ほどで酒母が出来上がります。

 

山卸とは、生酛造りの工程の一部で、半切り桶に仕込んだ酒母に荒櫂(あらがい)を入れて摺る作業のことです。

この作業はこうじの酵素の作用で蒸米のでんぷんが糖化するのを助け、濃醇でキレのよいお酒を造る目的で行われます。

しかし、昔から「櫂でつぶすな、麹で溶かせ」と言われるように非常にデリケートな力加減を要する高度な技なのです。

このため、この山卸の作業を省略することを前提とした山卸廃止酛(山廃酛)が国立醸造試験所で開発されました。「山廃づくり」として知られる技法の基礎ですね。

※生酛から山卸だけを省略すれば山廃、山廃を効率化すれば速醸系の酛となるわけです。(速醸系の造り方ではありません)

 

どうして乳酸菌を加えるのでしょうか?

元々自然発酵を組み合わせて酒母を造ってきた過程で、様々な雑菌を除き、必要な菌のみを残すために培われてきた技術なのです。

酒母を造る過程では、最初は硝酸還元菌、野生酵母、産膜酵母が隆盛を極めます。

5日目ごろを境にこれらは乳酸菌によって駆逐されていくのです。

乳酸菌にもいろいろな種類があり、12日目ごろには球型乳酸菌が、15日目ごろには稈型乳酸菌が隆盛のピークを迎えます。

でもやがては自らの生成した酸によって死滅していくのです。

ここからが清酒酵母の出番です。(加えるタイミングは杜氏の経験と勘です)

生酛においては、菌や酵母の生存競争が長い時間をかけて行われるわけですね。

 

吟醸酒誕生を語る上でかかせない協会酵母のお話

もともと日本酒にはお米の持つ地味な香りだけがあり、ワインのようなフルーティな香りはありませんでした。

鑑評会向けに優れた香りを持つお酒を醸造しようと工夫が重ねられて吟醸酒が誕生するわけですが、これに大きな役割を果たしたのが協会系酵母の中の「協会7号(真澄酵母)」と「協会9号(香露酵母・熊本酵母)」です。

大きく分けて、発酵の時に泡をたてる「泡あり酵母」と、泡をたてない「泡なし酵母」に分類されます。

泡あり酵母

ビールやスパークリングワインといえばわかりやすいでしょうか?

通常のアルコール発酵は、進むときに二酸化炭素を生成します。これが「泡」です。

蔵人たちは醪(もろみ)からあがってくる泡の「きめ」を観察し、泡のきめが筋泡→水泡→岩泡→高泡→落泡→大玉泡→中玉泡→小玉泡→池と変化をする様を見て、発行の進捗状態を見極めてきました。

微生物学的に見ますと、泡あり酵母は細胞壁が撥水性であることを特徴としています。

泡なし酵母

泡あり酵母では二酸化炭素の気泡表面に酵母が吸着し泡を形成するのですが、島根の酒蔵(簸上清酒合名会社)で、突然変異により発酵時に泡を出さない酵母が発見されました。

こうした酵母でお酒を仕込めば「泡守り」が不要になるなど利点も多いので、ここから研究が進みました。

微生物学的には泡なし酵母は細胞壁が親水性であることが特徴です。

現在の協会系酵母として頒布されているものの70%近くがこの泡なし酵母になります。

 

協会7号

通称「K7酵母」「真澄酵母」。

発酵力が強く、オレンジのような華やかな香りを出します。

下面酵母的な性質を持っています。

吟醸香の強さは協会9号ほどではありませんが、吟醸酒の発展に大きな役割を果たした酵母です。

協会7号は現在でも最も多く使用されている清酒用酵母で、醗酵力が強いため普通酒に使用されるようになりました。

反面、吟醸仕込みにはあまり使われなくっているようです。

協会9号

通称「K9酵母」「熊本酵母」「香露酵母」。

酸が少なく、香気が高いので吟醸酒に向いています。

こちらも吟醸酒の発展に大きな役割を果たしました。

現在でも多くの吟醸酒に用いられています。

協会6号・7号酵母と同様に低温でよく醗酵しますが、温暖地での吟醸造りに向いた前急短期醗酵型のもろみになりやすいです。

通称にもありますとおり、「香露」の醸造元である(株)熊本県酒造研究所の保存酵母から分離されましたが、もとを辿ると岐阜県の「菊川」の蔵で生まれた酵母です。

 

そして「花酵母」の存在を忘れてはなりません。

東京農業大学がなでしこ、ベコニア、ツルバラの花などから分離した「花酵母」は強い吟醸香を引き出すのです。

花酵母を使って日本酒を醸造している蔵の草分けとして「天吹酒造」がありますが、こちらの蔵ではアベリア、イチゴ、月下美人、蔓薔薇、シャクナゲ(石楠花)、なでしこ、ひまわり、ベゴニア、マリーゴールドなどの花酵母から日本酒が仕込まれています。

どのお酒もとてもおいしいですよ。

花酵母も泡なし酵母の一種です。

続きを読む 掛米、麹米とは?

酒造好適米

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酒造好適米とは、食用米とどこが違うのでしょうか?

まず、大きさが違います。

食用米に比べ稈長(稲の背丈)は長くなり、穂長(稲穂の長さ)も長いのが特徴です。(最近は品種改良によりだいぶ短くなってきているようです)

※「草丈」という場合は稲に触れずに穂が垂れていてもその一番高い部分で測りますが、稈長は地面から穂首までの長さを、穂長は節になっているところから一番長い穂先までを手で伸ばして測ります。

そして粒も大きいのが特徴です。

次に心白が食用米より大きくなります。

心白とはお米の中心部の白いところです。

この心白にはたんぱく質の含有量が少なく、磨いても砕けることがないように粘度が高く、醪(もろみ)によく溶けるという性質があります。

最後に、醸造適性があります。

醸造適性とは、お酒にする醸造のしやすさのことです。

蒸米吸水率や麹への造りやすさなど、日本酒造りにより適しているということです。(食用米からお酒が造れないということではありません)

食用米に多く含まれるたんぱく質や脂肪は、食べるには旨味となりますが、お酒となると苦みや雑味として現れてしまうのです。

 

酒造好適米にはどんなものがあるの?

食用米ほどではありませんが、酒米にも種類はたくさんあります。

ここでは代表的な一部の酒造好適米についてのみ解説させていただきます。

山田錦(やまだにしき)

主な産地は兵庫県です。

多くの新品種の親株でもありますので、一番有名な酒米と言ってもいいですね。

1923年に兵庫県立農事試験場にて「山田穂」と「短稈渡船」を交配し、1931年に品種確定して「山渡50-7」と系統名がつけられ、1936年に「山田錦」と命名されました。

※山田穂とは山田錦の母体となる品種です。

山田錦を使用して造られたお酒は香味が良く、大吟醸酒や鑑評会に出品する日本酒などもこの山田錦を原料として造られることが多いです。(酒米の中でも全国一の生産量ですし)

 

五百万石(ごひゃくまんごく)

主な生産地は新潟県です。

山田錦と並んで酒米界を代表する品種です。

命名の由来

新潟県の米生産量が五百万石を突破したことを記念して命名された酒米です。

「菊水」と「新200号」を掛け合わせてつくられました。

昭和50年代後半にはシェア50%の人気銘柄になり、現在でも酒造好適米の作付け面積第1位の地位を確保しています。

山田錦が晩生であることに対して、五百万石は早生(わせ)です。

地域によっては、山田錦を栽培したくても晩生であるために十分に登熟しないことがあります。

そういった地域では山田錦を品種改良するか、こちらの五百万石のような早生品種を栽培するようです。

粒の大きさは山田錦に比べると小さいのですが(それでも大きい方です)、とてもフルーティな仕上がりになります。

 

美山錦(みやまにしき)

主な生産地は長野ですが、秋田、山形、岩手など東北地方で広く栽培されています。

耐肥性に強く耐冷性に秀でています。

美山錦は、昭和53年長野県農事試験場にて「北陸12号」を母、「東北25号」を父とした「たかね錦」をもとに、突然異変によって誕生した比較的新しい酒造好適米です。

香りは控えめですが、お米の味がよくわかりすっきりとした軽快な味わいとなります。

 

雄町(おまち)

主な産地は岡山県です。

雄町は酒米の中では最古参の種目です。

山田錦や五百万石と比べても祖先にあたりますが、香りも味わいもまったく違います。

稈長が他の品種よりもさらに高く、倒伏しやすく病虫害にも弱いため栽培がとても難しいため一時期は絶滅の危機にあったくらいです。(現在は岡山の酒造メーカーを中心に作付面積を増やしていますが、地元酒造メーカーとの契約栽培が多いため、他県の酒造メーカーにはなかなか供給されません)

山田錦の父親でもある「渡船」は1895年に滋賀県立農事試験場で備前雄町から選抜された品種です。

雄町は山田錦と比べ、芳醇でコクのある味わいのお酒ができあがります。

 

※山田錦と雄町は晩生であり、五百万石と美山錦は早生です。

 

現地適応性とは?

その土地の気候や土壌などをはじめとして、それぞれの土地に合っていることをいいます。

寒い地方は早成熟型、温かい地方は晩成熟型などです。

その土地の自然環境に適した栽培種であることが認められると、農林水産省が農産物検査法に基づいて、都道府県もしくは産地ごとに産地品種銘柄にしていするのです。

なお、都道府県奨励品種とは違って、産地品種銘柄は複数の都道府県のブランドとして指定されることも多くあります。

 

少々難しいかもしれませんが、これはとても大切なことです。

検査機関が行う米穀検査に合格すると、その産地・品種と産年の証明を取得できるのです。

検査機関の証明を受けていない米や玄米は、生産者・販売者などが勝手にその産地・品種・産年の表示をすることを許可されていません。(「その他品種」と表示することになっています)

これは銘柄偽装問題と直接かかわりがあることなのです。

私たち消費者が酒米を直接買い受ける機会はあまりないでしょうが、出自のアヤシイお米や玄米には残留農薬など様々な危険が潜んでいるのです。

 

精米歩合

精米歩合とは、精白(精米)の程度を示す比率(割合)のことです。

精米歩合とは、白米(玄米からぬか、胚芽等の表層部を取り去った状態の米をいい、米こうじの製造に使用する白米を含む。 )」とされています。

ですから、精米歩合の数値が低いほどより高度に精米されていることになります。

 

以前は、

本醸造酒は70%以下

純米酒は70%以下

吟醸酒は60%以下

大吟醸酒は50%以下

と規定されていましたが、平成16年に「清酒の製法品質表示基準」が一部改正されて純米酒から精米歩合規程が撤廃されています。

 

精米歩合についてはこちらのBlogにとてもわかりやすく解説されています。

「KURAND」さん

表をお借りしてみました。

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ここで一つ注意点を

確かに精米歩合を50%にまでするには50時間もかかります。

それだけ雑味も消えますし、香りも高くなり良いお酒ができることは間違いがないのですが、先にも触れました通りお米の粒には大きさがあります。

小さい粒ではそれほど磨かなくても必要な心白部分に到達できますし、逆に大きい粒であればそれだけ磨く必要もでてきます。(無駄が多い?とか書いたら怒られるでしょうか?)

清酒の製法品質表示基準で決まっていることも、味わいのランク付けがされているわけではないことを覚えておいてください。

あくまでも「表示をする上での基準」なのです。

精米歩合によって味わいに違いがでてはきますが、だからといって精米歩合が高ければおいしいというわけではないのです。

自分の好みの味や香りを見つけるための目安としていきましょう。

全ての蔵が味わいを追究していく過程の一つとして、精米歩合にもこだわってみた。

ということです。

 

次回はいよいよ日本酒の仕込みについてをお話ししようと思います。 続きを読む 酒造好適米

日本酒度についてのお話。

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日本酒度

日本酒のラベルに書かれている、甘口、辛口をみる「目安」です。

※あくまでも「目安」です。

糖分が多いものは甘く、逆に少ないものは辛く感じます。

日本酒度は糖分の多いものがマイナスに、そして糖分の少ないものがプラスで現されています。

 

そもそもの日本酒度とは、前にもちょっと触れましたが「日本酒の比重」のことです。

日本酒は、専用の比重計(日本酒度計)で測ります。このときの温度は15℃が基準です。

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数値が-(マイナス)なら甘口(日本酒度計が高く浮くような状態)で、その数値が大きくなればなるほど甘くなっていきます。

数値が+(プラス)なら辛口(日本酒度計が低く沈み込む状態)で、その数値が大きくなればなるほど辛くなります。

 

比重計ですからそのまま日本酒の重さに比例します。

どうして重さで味が変わるのかといいますと、日本酒の甘さを決定づけるブドウ糖濃度が日本酒の重さでわかるからです。

ブドウ糖は水よりも質量が重いのです。

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酸度について

日本酒における酸度とは、日本酒の製造過程で酵母や麹、米から発生した乳酸・コハク酸・クエン酸・リンゴ酸などの酸の量を現したものです。

普通は「酸値がピンチ・・・」失礼しました、「酸値が高い=すっぱい」というイメージですが、日本酒の場合は違います。

酸には味を引き締める働きがあります。

酸が少ないとお酒の味にハリやキレがなくなり、ぼやけた味わいになってしまいます。

日本酒は酸度が高いほど、より芳醇な味わいに近づき、低ければ端麗な味わいになります。

日本酒度が同じであれば、酸度の高いお酒が辛(から)く感じ、低いお酒は甘く感じるのです。

今日はもうコレだけを覚えていってください。

 

本来日本酒の「甘口」、「辛口」という表現は、日本酒度と酸度の数値によって分けられているのです。

「日本酒度」と「酸度」の組み合わせで、日本酒の味わいがどう変わるのか?についてのグラフが一番最初に掲示した分布図になります。

実際にいろいろな日本酒を味わいますと「ふわっとしたフルーティな味わいだけど数値上は辛口」ですとか、「甘口なのにピリピリとした辛さ」を感じるものもあります。

味覚ですから、数値だけでは割り切れるものではないのです。

※日本酒度○度、酸度○でどんな味わいになるか?を簡単に分布図から読み取ってください。・・・・・自分の好みの味わいをみつける参考にしましょう。

 

では一番日本酒度の高いお酒はどれでしょうか?

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たぶんこいつです。

「越後武士(えちごさむらい)」です。なんと日本酒度が+66だそうです。

原料米には「五百万石・こしいぶき」を使用しています。

アルコール度数はなんと46%もあります。

あまりにもアルコール度数が高いので「清酒」の表示はできないようですが、伝統的な日本酒を醸造する手法で造られているそうです。(酒税法上はリキュールになります)

 

では逆に日本酒度が一番低いお酒は?

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「一ノ蔵 ひめぜん」です。なんと-70だそうですww

気になりますね。

こちらもきちんとした「清酒」です。

こちらの一ノ蔵には「ひめぜん Ume」というものがあり、その日本酒度は-95なのですが、これはリキュール(梅や氷砂糖の添加あり)であり、清酒ではありませんのでこの「ひめぜん」が清酒としての最高ランクの甘口酒でしょう。

※甘口を追及すると、酒米ではなく食用米を原料に使うものが多いようです。さすがに酒米では限界があるのでしょうね。

こちらの「ひめぜん」は「トヨニシキ」というお米を主に使用していますが、このトヨニシキは実は「酒造用掛け米」としての需要が多いお米です。

なんとなく「お米の貴腐ワイン」的なものを想像してしまいますね。

掛け米や麹米などはまた後日詳しくみていきましょう。

続きを読む 日本酒度についてのお話。

日本酒の味を決めるのは?

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前回、三増酒のお話の中で日本の酒造りの伝統技法についてちょっとだけ触れました。

それがこの「柱焼酎(はしらじょうちゅう)」です。

目的は「火落ち」や「腐造」を防止することです。

火落ちとは、日本酒の製法用語の一つで、製造している日本酒が貯蔵中に白濁して腐造することをいいます。

原因は火落ち菌によって引き起こされます。

「もやしもん」でTVアニメにもなりましたので名前くらいは聞いたことがある方が多いと思います。

火落ち菌とは、コウジカビが生成するメバロン酸(通称「火落ち酸」)を主食とする乳酸菌の一種です。

これが日本酒に入り込むと濁りを生じ、酸化させ、また臭みを帯びさせます。6%くらいのアルコール濃度が最適な成育環境ですが、25%程度でも問題なく成育します。

ちょうど日本酒のような弱酸性な環境を好むんですね。

 

昔の不衛生な木樽では、内部まで完全に殺菌することが困難であったため、頻繁に起こっていた現象でもあり、ひとたび起こると何年にもわたってその酒蔵を悩ませる災害でした。

火入れをせず、日本酒の中に火落ち菌を放置すると、安全醸造が保障されている現在でも過熟になって酒が酢のようになったり、老ね香(ひねか)を発したりします。

 

これを防ぐための手法が柱焼酎を添加することです。

柱焼酎とは、江戸時代初期に存在した日本酒の伝統的製法用語の一つで、米焼酎や粕取り焼酎を醸造する醪や上槽した新酒に加える技法のことをいいます。

安全醸造が確立する前、おおよそ明治の中ごろまでは一般的におこなわれていました。

『童蒙酒造記』(どうもうしゅぞうき)に、醸造した酒に焼酎を入れると「味がしゃんとし、足強く候」というくだりがあり、これによって「柱焼酎」と名付けられました。

「足強く候」とは腐りにくいということです。

 

柱焼酎を入れることによる効果

もろみの中には多くのアミノ酸によって構成された香気成分やうまみ成分が含まれています。

ところが、普通にもろみを搾って酒粕とアルコールを分離しようとしても、日本酒のアルコール度数が低いためにそれらの成分の多くは酒粕側に残ってしまいます。

ここに高濃度のアルコールを添加すると、香気成分やうまみ成分はその高濃度アルコール中に溶け出します。

高濃度アルコールがもろみから成分を抽出してくれるのです。

また、柱焼酎を作る手間暇や費用対効果を考えますと、決して醸造した日本酒を薄める目的では採算があいません。

同じくアル添とされてはいますが、戦後の国策による三増酒政策とはまったくその目的が違うのです。

吟醸酒に若干のアル添が許されている理由もここにあります。

高濃度アルコールを活用することで、酢酸イソアミル(バナナ・メロン香の元)やカプロン酸エチル(リンゴ香の元)などの香気成分を効率よく抽出しているのです。

また、大吟醸酒などでは発酵の途中であっても、目標のアルコール度数・日本酒度に達した場合には強制的に発酵を停止させる目的にも使われています。

狙った酒質に仕上げるために大切なことなのです。

そしてこの狙った酒質に仕上げる技法は、長年経験を積んできた杜氏にしかできない匠の技なのです。

 

生か火入れか

生酒とは「火入れ」と呼ぶ加熱処理を一切していないお酒です。

出来立てでフルーティな味わいを楽しむことができます。

ただし、火入れを行っていないためにとてもデリケートです。

最近は、流通技術が発達してきたためだいぶ出回るようになりましたが、それでも完全に冷蔵のままで流通させなければなりませんし、保存や管理もとても難しいお酒となりますので、地元でしか流通・消費されないことが多い本物の日本酒ですね。

 

日本酒を造る工程で、「加熱処理(火入れ)」という作業をするのですが、これは日本酒の腐敗を防ぐ目的で熱を加えます。

火入れをしないと火落ち菌によって、日本酒は貯蔵中に白濁してしまうことはすでに説明しましたよね。

安定した製品造りには欠かせない作業なのですが、火入れをすることにより味や香りが変わってしまうことも事実です。

 

通常日本酒は、製品にするまでに2度火入れを行います。

搾ったあとに貯蔵するわけですが、搾ってから貯蔵の間に1回、貯蔵してから製品にするまでにもう1回火入れをするのです。

生貯蔵酒は、搾った後に火入れを行いません。

製品化する前に1度だけ火入れを行います。

生詰酒の場合は搾った後に1度火入れを行い貯蔵しますが、そこから製品化するまでの間に火入れを行いません。

最初に生酒の流通・保管の難しさについて書いた通り、まず出回りませんのであなたが普段目にしている「生酒」はだいたいがこの「生貯蔵酒」のことになります。

なお、熟成古酒というものがあります。

熟成古酒とは「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」のことです。

この他に古酒と呼ばれるものもありますが、「古酒」は製造年月から1年以上経ってから出荷されるもので、2年以上経っていると「古古酒」と呼ばれたりします。

ちなみに熟成古酒は「特定名称酒」ではないため、ラベルへの表示規定がありません。

このために1~2年で出荷されているものにも「熟成酒」や「長期熟成」、「秘蔵酒」などと書かれていることがあるのです。

「ひやおろし」とか「秋あがり」とかがこれに該当します。おいしいですよね。

 

熟成古酒の大まかな分類は3つです。

濃熟タイプ

醸造方法は本醸造と純米酒になります。

熟成温度は常温で、熟成を重ねるにつれて照り、色、香り、味が劇的に変化します。(もちろん良い方にです)

中間タイプ

醸造方法は本醸造酒、純米酒に加え、吟醸酒と大吟醸酒です。

熟成温度は低温熟成と常温熟成を併用します。

低温熟成から常温熟成へ、またはその逆の貯蔵法により、濃熟タイプと淡熟タイプの中間の味わいを実現しています。

淡熟タイプ

醸造方法は吟醸酒と大吟醸酒です。

低温熟成で吟醸酒の良さを残しつつ、ほどよい苦みと香りが渾然一体となった幅のある深い味わいになります。

 

ここで豆知識です。

「日本酒って熟成させると酢になるのでは?」

実は日本酒は放っておいて勝手に酢になるようなものではないのです。

日本酒を酢にするには、「酢酸菌」を日本酒に植え付けて放置する必要があります。

火落ちは火落菌によるものですから、酢酸菌による酢酸発酵とは別のものです。

酢酸菌はアルコール度数10%以上では生育できないために、通常の清酒(アルコール度数15%前後)では古くなっても、酢酸菌を植え付けたとしても酢にはならないとされています。

ましてや、にごり酒と火落ちによる白濁も当然違います。

にごり酒とは、製造過程においてお酒を濾すことが義務付けられていますが、この時に使うザルの目を粗くすることで酒中の「おり」を多く残す手法です。

※おりとは、もろみ中にある原料米や、米こうじやその他分解物であったり、酵母のことです。

 

今回のお話は昔からある柱焼酎を添加することは、現在言われている三増酒とはまったく違うよ!ということと、正しいアル添はお酒のうまみや香りを引き出すための技法なんですというお話でした。 続きを読む 日本酒の味を決めるのは?

日本酒って種類が多すぎない?

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いえいえ、そんなことはございません。

本来の区分としては6種類しかないんです。

1.大吟醸酒    精米歩合50%以下、麹歩合15%以上、若干のアル添可。

2.純米大吟醸   精米歩合50%以下、麹歩合15%以上、アル添不可。

3.吟醸酒      精米歩合60%以下、麹歩合15%以上、若干のアル添可。

4.純米吟醸酒   精米歩合60%以下、麹歩合15%以上、アル添不可。

5.本醸造酒    精米歩合70%以下、麹歩合15%以上、若干のアル添可。

6.純米酒      精米歩合による規定はない、麹歩合15%以上、アル添不可。

※1.アル添とは、アルコール添加のことです。純米酒は「純米」ですからアル添は認められていません。

※2.若干のアル添可とは、使用する白米1トンにつき120リットル(重量比でおよそ1/10)以下の醸造用アルコールを添加してよい。という決まり事があります。

なお、「特別」と冠した「特別本醸造」ならびに「特別純米酒」というものがありますが、①「精米歩合60%以下(吟醸酒並みの精米歩合)で醸造したが、吟醸酒に値するまでの醸造方法をとっていない。」とか、②「精米歩合は68%(本醸造酒、純米酒並みの精米歩合)で醸造したが、吟醸酒に値するくらいの醸造方法をとった。」という時に、「特別」とつけているだけのことです。

※下線部分が本来の①吟醸酒や②純米酒の要件を満たしていないところです。特に②については純米酒ではアル添が認められていませんが、「吟醸酒に値するくらい」という範疇にアル添が含まれることから「純米酒」と表記できないわけです。

この場合の「吟醸酒に値するまでの醸造方法」というのは、いわゆる「特別な製造方法」(清酒の製法品質表示基準定め)のことですが、その製法については各蔵の醸造基準であり、全国に共通するような定めがあるわけではありませんので除外して「6種類」としています。(特定名称酒の8分類を否定するものではありません)

「特別」のつく純米酒と本醸造酒は大枠は決まっていますが、蔵ごとに基準が違いますので解説いたしません。

ぶっちゃけて言ってしまえば「米だけの酒」(規格外米や米粉を使用)と「純米酒」の違いについて消費者の混乱を招いた経緯があったので、表示基準の一部が改正されたわけです。

また、これにより「普通酒」という「清酒」と区別される言葉もでてきました。

※「特定名称酒」とは、国税庁が定めた「清酒の製法品質表示基準」(国税庁告示第8号)(平成元年11月告示、平成2年4月適用)によります。なお、平成15年10月31日に一部が改正され、平成16年1月1日から適用となっています。

 

「清酒」といえば「日本酒」のことを指しますが、あなたが普段スーパーなどで目にしている一般的な「日本酒」は、そのほとんどが「普通酒」のことです。

普通酒という呼称にはなかなか馴染みがないことと思いますが、三増酒のことです。

三増酒とは、アル添して三倍に薄めたお酒のことです。(平成18年に酒税法が改正されて、三増酒に関しては清酒の範疇から外されました。これに倣って各蔵でも三増酒は製造しなくなったようです。)

この平成18年の酒税法改正により、2倍に薄めることまでは認められているので、現在は正確には二増酒となります。(厄介なことに二増酒までは「清酒」という表記が認められているようです。)

どうしてこんなに複雑なのか?と思われた方も多いことでしょう。

酒税法の関係ももちろんあります。酒税法ではアルコール度数やそもそものお酒の造り方などで細かく税率が変わってくるのです。

そしてお上は新しくでてきたものについてももちろん税金をかけますよね?ただ、今までの枠組みには入れられないものを後から追加していくとこんな風になってしまうのでしょう。

あとは私たち消費者が取捨選択するしかないですよね。

 

二増酒のアル添割合

醸造アルコールの平均使用量は白米1トンあたり約280リットルまで許されています。

この添加量は、アルコール添加率にすると約45%になりますのでおおよそ二倍増しということですね。

(正確には二増酒ですが、慣習として三増酒の方が馴染みがありますのでここでも三増酒という名称を使用します。)

添加物には、醸造アルコールだけではなく、調味のために焼酎やぶどう糖、その他の糖類、有機酸、アミノ酸塩(うまみ調味料など)が副原料として添加されています。

 

実は世の中の「辛口」で売っているお酒の大半がこの「三(二)増酒」です。

 

これだけいろんなものが添加されているわけですから悪酔いして当然です。

※もちろんどんなお酒でも飲み過ぎてしまえば翌日に持ち越しますので、くれぐれも深酒はしないようにしましょう。

 

それでは6種類の解説に戻りましょう。

1.大吟醸酒

大吟醸酒とは、吟醸酒のうち、精米歩合50%以下の白米を原料として製造されていて、香味及び色沢が特に良好なものに用いることができる名称となります。

吟醸酒よりもさらに徹底して低温長期発酵させるのです。(吟醸造りといいます)

2.純米大吟醸酒

純米大吟醸酒とは、大吟醸酒のうち、醸造アルコールを添加せず、白米、米こうじと水のみを原料として製造されたものに用いることができる名称です。

一般的にアル添した大吟醸酒に比べてまろやかな香りで味わい深いです。

また、この香りにはフルーティで華やかな香りが特徴的です。味わいは淡くさらりとしたものが多いのですが、中にはずっしりとしたものもあり、蔵の個性がでるところです。

3.吟醸酒

吟醸酒とは、精米歩合60%以下の白米、米こうじと水、それと醸造アルコールを原料としています。

こちらも吟醸造りで製造されています。

吟醸造りでは、最後にもろみを絞る前に吟醸香を引き出すために醸造アルコールを添加します。

そうすることで、芳香成分や味に関する成分を本醸造などと比べて、より一層お酒に残すことにつながるのです。(味や香りが濃くなります)

もろみを絞った後に醸造アルコールを添加すると淡麗な味わいとなります。

どのタイミングでアル添するか、ということも大事なポイントなのです。

4.純米吟醸酒

純米吟醸酒とは、吟醸酒のうち、醸造アルコールを添加せず、白米、米こうじと水のみを原料として製造されたお酒に用いることができる名称です。

ただの吟醸酒よりは穏やかで控えめな味と香りとなります。(好みによりますが、「余計な誇張がされていない」という方もいらっしゃいます)

5.本醸造酒

本醸造酒とは、精米歩合70%以下の白米、米こうじ、醸造アルコールと水を原料として製造された清酒のことです。

6.純米酒

純米酒とは、白米、米こうじと水のみを原料として製造された清酒に用いることができる名称です。(その蔵の味をみるには純米酒が一番です)

ただしその白米は、「3等以上に格付された玄米またはこれに相当する玄米を使用すること」となっています。(他の5種類のお酒もこの点は同様です)

 

※これらの6種類はランク分けではありません。それぞれに良いところがありますので、自分で実際に飲み比べてみて好みに合うお酒を選べばいいのです。

それもまた日本酒を愉しむということです。

 

昔のお酒はみな純米酒だったんですよ。

昔はアル添するための醸造アルコールは柱焼酎といって、原料はお米でしたから三倍に増してやっても純米酒だったんです。

そうです、三倍増醸造酒(通称三増酒)は実は戦後の発祥ではないんです。

ぁ、三増酒は戦後の国策ですからそれ以前はそんな名称はなかったですよ?

柱焼酎はれっきとした日本酒造りの技法のひとつです。

現在ではお米に限らず、さとうきびなど植物原料が使われています。化学的に合成した工業用アルコールではないのでご安心ください。

※日本酒には使用するお米の等級や麹歩合15%以上という制限があります。

「規格外米」や「くず米」、「米粉」を使用したお酒は「清酒」を名乗ることができません。

 

ここで豆知識です。

三増酒がはびこった背景には、戦後の深刻な米不足も一つの要因でした。

原料となる酒米が手に入らなかったんです。

これ以外の大きな要因としては、私たち消費者が当時の低精白な雑味の多い純米酒よりも安定した味わいの三増酒を好んだことにもあります。

 

他にもまだまだ日本酒には種類がありますが、長くなってしまいましたので次に譲ります。 続きを読む 日本酒って種類が多すぎない?